当研究所は、農業生産工程管理(GAP)の導入に関する総合的な情報提供と実際の生産現場におけるGAPの実践のためのITシステムの提供を目的とした2つのサービスを開始します。これらのサービスは、GAPに取り組む生産者の皆さんだけでなく、JAや普及指導員など関係の皆さんに有効にご活用いただくことを目指しています。あわせて、GAPが全国的に普及促進されることを目的としています。
現在、GAPは食の安全・安心を背景に全国各地で導入の動きが広がっています。農薬や肥料の適正使用はもとより、農場管理、農業従事者の衛生管理など、生産から収穫調製、出荷までの一連の生産工程を管理する手法として定着しつつあります。またGAPは、食品の安全や生産工程管理だけでなく、環境保全や労働安全、更には経営の改善や効率化といった様々な課題に対する具体的な実践手法としての活用が期待されています。
しかしながら、GAPの取り組みはまだ始まったばかりで、GAP導入に関する情報の収集やGAPを具体的に実践するためのITなどの仕組みが求められている現状です。当研究所では、今回の新しいサービスについて、今後も情報コンテンツの充実やシステム機能の拡充に継続的に取り組んでまいります。当研究所のサービスが、全国の皆さんのGAPの導入・実践のお役に立てば幸いです。
【 GAP関連の2つのサービス 】
GAP取組支援データベースは、GAPを具体的に実践するための「実践情報」とそれを補完する「基礎情報」で構成されます。特に「実践情報」では、産地におけるGAPの理解・合意形成からGAPを導入する際の体制作りと進め方、またPDCAサイクルによるGAPの実践に関する取組事項を分かりやすくまとめています。ガイドラインや参考資料集で提示される膨大な点検項目の解説については、写真画像を使って視覚的に理解していただくことを目指しました。
GAP取組支援データベースは以下の事業の成果です。 農林水産省 平成22年度産地収益力向上支援事業・全国推進事業 (先進的総合生産工程管理体制構築事業)([所管] 農林水産省 生産局 技術普及課 新技術企画班) ※GAP取組支援データベース協議会の各委員ならびにGAPの認証・監査業務の専門家の協力をいただきました。
GAPナビゲーションシステムは、多種多様なGAPに汎用的に対応し、様々なGAP管理項目の 管理を簡易に実現するためのシステムです。主要なGAPの管理項目(GAPマスター)と現場で独自に作成する管理項目(独自チェックシート)を対応付けて管理することにより、多種多様なGAPに 的確かつ自動的に対応します。GAPマスター情報と独自チェックシート情報は共通データベースに より一元管理されます。また、パソコンによる操作に加えて、OCR記入用紙のスキャナーによる読み込みに対応するなど、実用的かつ機能的に利用できる仕組みになっています。
GAPナビゲーションシステムはインターネットを介して利用するシステムのため、サーバーなど 特別な機器を用意する必要がありません。いつでも、どこでも利用できます。
GAPナビゲーションシステムは、独自のチェックシート(管理項目)を自由に、かつ様々なパターンで作成することができるため、栽培作物や営農形態などそれぞれの現場の実態に合ったGAPの運用が可能です。また、生産者やJAなどでのチェックシートの記帳や記帳結果の確認のための作業負担を大幅に軽減することができます。記帳結果はデータベース化され、安全確認や作業改善を支援するための有効な情報となります。
更に、農薬使用などの履歴記帳と農薬の適正使用を事前に判定できる資材ナビゲーションシステム(実運用中)との一体化を実現したことにより、GAP管理項目の約1/3を占める農薬適正使用に 関連する管理項目の高度な管理も可能になり、GAP管理を通じた安全・安心の取り組みの意識や精度の向上を実現する実用システムとして飛躍的な普及が期待できます。
GAPナビゲーションシステムは、以下の研究プロジェクトの成果です。
公式Webサイト: http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/keiei/GAP/、連絡先:GAPNavi@ml.affrc.go.jp
農林水産省「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」(課題番号:2005)
課題名:GAP導入促進のための経営支援ナビゲーションシステムの開発
中核機関名:国立大学法人九州大学、研究総括者(教授:南石晃明)
中課題(イ)生産資材適正使用のためのGAPナビゲーションシステムの開発
担当機関名:特定非営利活動法人 農業ナビゲーション研究所
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