GAPガイドラインの項目別 「良い例・望ましい例」、「悪い例・望ましくない例」
米・麦編
1.食品安全を主な目的とする取組
【ほ場環境の確認と衛生管理】
1.ほ場やその周辺環境(土壌や汚水等)、廃棄物、資材等からの汚染防止
1−1.ほ場及び隣接地の従前及び現在の用途の確認
ほ場の従前の用途や前作、周辺の状況を確認します。
工場などが近くにある場合は、工場の排水の流入にも注意が必要です。
1−2.ほ場及び水源への動物の侵入の確認
動物侵入の痕跡が無いか確認します。
ペットの持ち込み、野生動物の侵入がないようにします。
動物の侵入があると、住みついたり、排泄したりして、衛生上好ましくない状況になります。
1−3.家畜糞尿を原料とする未処理の堆肥が流出し、生鮮野菜と接触する可能性の確認
堆肥は、ほ場から離れた場所に保管するか、屋根や排汁溝の設置、不透水性のシートによる被覆等により堆肥や排汁がほ場や水路を汚染しないようにします。
1−4.汚染された地表水の流入により、ほ場が汚染される可能性の確認
雨天時に河川やため池等の地表水の溢水、冠水が生じないか確認し、必要に応じて土留め、杭打ち等を行います。
排水溝の設置等により雨天時に汚水が流入しないようにします。
冠水した場合は、排水器材の投入、使用、盛り土などの早急な手当てを行います。
農薬散布機等を洗浄した水がほ場や水源に流入しないか確認します。
1−5.廃棄物や資材等が適切に管理されており、これらが農作物を汚染する可能性がないことを確認
資材を出しっぱなしにしたり、前作や前作業に使用した不要な資材を放置しないようにします。
廃棄物や作物残差はほ場や施設、その周辺に放置しないようにします。
病気や害虫の発生を抑えるためにも、栽培終了後には、ほ場の後片付けを適切に実施します。
【参考】 特に施設栽培では、細かな農業資材(クリップ、針金、結束帯など)を使用するので、栽培中の農作物に入り込んだり、収穫物に紛れ込むことがないように、注意します。
プラスチック、ビニールなどの樹脂類は、紫外線などの影響により脆く、細かくなりやすいので注意しましょう。
【農薬の使用】
2.無登録農薬及び無登録農薬の疑いのある資材の使用禁止
登録番号を確認します。登録番号のない農薬は使わないようにします。
誰が購入したのかわからない農薬がないようにします。
【参考】 葉面散布剤、土壌混和資材などを使用する場合にも、メーカーから内容の把握できる資料を集め、確認しましょう。
3.農薬使用前における防除器具等の十分な点検、使用後における十分な洗浄
3−1.農薬の使用前には、防除器具等を点検し、十分に洗浄されているかの確認
ノズルの詰り、ホースの破損なども同時に点検します。
3−2.農薬の使用後には、防除器具の薬液タンク、ホース、噴頭、ノズル等残留性がある個所に特に注意して、十分に洗浄
4.農薬の使用の都度、容器又は包装の表示内容を確認し、表示内容を守って農薬を使用
農薬の使用の都度、容器又は包装の以下の表示内容を確認し、表示内容を守って農薬を使用することが法令上義務づけられています(ただし、Eについては努力義務)。
@農薬を使用できる農作物
A農薬の使用量
B農薬の希釈倍数
C農薬を使用する時期(収穫前の使用禁止期間)
D農作物に対して農薬を使用できる回数(使用前に記録簿を確認)
E農薬の有効期限(有効期限を過ぎた農薬は使用しない)
F農薬の使用上の注意
【参考】 使用期限が切れた農薬は、登録が失効している場合があります。また期待した効果が得られないこともあるので、使用は控えましょう。
5.農薬散布時における周辺作物への影響の回避
農薬を使用する際、適用作物(農薬のラベルに書かれている、その農薬を使用できる作物のこと)以外に農薬を使用してはならないことが法令上義務づけられています。この取組の一環として、農薬を散布する時は、農薬の飛散による周辺作物への影響を低減するために以下の点に留意しましょう。
・周辺の農作物栽培者に対して、事前に農薬使用の目的や散布日時、使う農薬の種類等についての情報提供
・農薬を使う際には、病害虫の発生状況を踏まえて、最小限の区域にとどめた農薬散布
・近隣に影響が少ない天候の日や時間帯での散布
・風向きを考慮したノズルの向きの決定
・飛散が少ない形状の農薬、散布方法、散布器具の選択 等
【参考】 農薬を選定する際、周辺作物にも適用のあるもの、飛散性の少ない剤型のものを選ぶなどの工夫も効果的です。
【カドミウム濃度の低減対策】
6.過去の米穀や生産環境におけるカドミウムの情報を踏まえ、必要に応じて、出穂前後3週間の湛水管理等の
   低減対策を実施し、その効果を確認
カドミウム汚染米は明確な表示による区分をして管理します。
【かび毒(DON,NIV)汚染の低減対策】(麦のみに該当)
・赤かび病抵抗性の比較的高い品種の選択
・前作の作物残さ等のほ場からの持出しやほ場中への確実な鋤込み、輪作により赤かび病菌の密度を低下させるなど赤かび病の耕種的防除の実施
・ほ場の巡回等により生育状況を把握し、赤かび病の適期防除を実施(最初の防除時期は、小麦及び六条大麦は開花を始めた時期から開花期までの間、二条大麦は穂揃い期の10 日後頃。必要に応じて追加の防除の実施)
・ほ場の巡回等により生育状況を把握し、適期に収穫を実施。また、赤かび病被害麦の別刈りを実施
・収穫後の速やかな乾燥を実施。また、荷受け時に赤かび病被害粒が見られた場合は、必要に応じて他の麦とは別に乾燥するなど仕分けを徹底
・共同乾燥調製施設を利用する場合は、粒厚選別、比重選別等により赤かび病被害粒の選別除去を実施
・効率的な分別や調製の実施、又はかび毒低減対策の効果を検証するために、ほ場又はロットなどの単位で収穫麦のDON含有濃度等を測定
【収穫後の農作物の管理】
7.米穀の清潔で衛生的な取扱い
7−1.乾燥調製施設では高水分籾の長時間放置によるヤケ米の発生等品質事故を防ぐため、貯蔵可能な水分含有率まで速やかに乾燥を実施
7−2.乾燥調製貯蔵施設では毎日定時に穀温を監視・記録し、穀温上昇の兆候が見られる場合は、直ちに貯蔵サイロ等ごとに全量ローテーションを実施
水分含量が高く、長期間タンク内に滞留したためにカビが生えてしまった事例があります。
7−3.施設の清掃及び適切な補修による、清潔かつ適切な維持管理の実施
施設は適切に補修し、ネズミなどが侵入しないように対策を施します。
【参考】 飛散する恐れのある蓋のないベイト剤や管理されていない蒸散性・揮発性の薬品の使用はしないようにします。
8.収穫・乾燥調製時の異種穀粒・異物混入を防止する対策の実施
貯留ビンや搬入設備等に残留した原料を除去します。
2.環境保全を主な目的とする取組
【農薬による環境負荷の低減対策】
9.農薬の使用残が発生しないように必要な量だけを秤量して散布液を調製
10.水田からの農薬流出を防止する対策の実施
10−1.農薬のラベルに記載されている止水に関する注意事項等の遵守。なお、止水期間は1 週間程度とすることが望ましい
10−2.畦畔等の整備による漏水防止
10−3.降水量が多くなる恐れがある場合には農薬の使用を中止
11.病害虫・雑草が発生しにくい栽培環境づくり
11−1.病害虫等の発生源となる植物の除去
畦畔を草刈りし、雑草が覆い茂った状態にしないようにします。
11−2.病害虫に抵抗性がある品種の導入
11−3.輪作体系の導入
11−4.ほ場及びほ場周辺の清掃
病害虫のえさとなりうる作物残さ等を放置しないように清潔に保つことが必要です。
12.発生予察情報の利用などにより病害虫の発生状況を把握した上での防除の実施
発生予察情報の入手や病虫害発生状況の観察による病害虫の発生状況を把握した上で、防除を行います。
13.農薬と他の防除手段を組み合わせた防除の実施
温湯消毒、塩水選別などの手法で種子を消毒します。
投入された育苗時の使用農薬を記録しておきます。
14.農薬散布時における周辺住民等への影響の回避
14−1.農薬の使用量、使用回数を削減
14−2.飛散が少ない形状の農薬及び農薬の飛散を抑制するノズルの使用
飛散しにくい剤型には、ジャンボ剤、粒剤、細粒剤、微粒剤といった固形剤のほかに、フロアブルの手ぶり散布があります。ただし、これらの剤であっても散布操作に留意が必要です。
14−3.近隣に影響が少ない天候の日や時間帯での散布
飛散発生の最大の要因は風です。風の弱いときに風向きに注意して散布することは最も基本的な対策です。(農薬飛散防止対策マニュアル)
14−4.風向きを考慮したノズルの向きの決定
散布はできるだけ目標物(作物)だけにかかるように注意しておかなければなりません。園地の端部では特に注意が必要で、外側から内側に向かって散布することが望ましい方法です。
14−5.農薬を散布する場合の近隣住民等への事前の周知
【肥料による環境負荷の低減対策】
15.土壌診断の結果を踏まえた肥料の適正な施肥や、都道府県の施肥基準やJAの栽培暦等で示している
  施肥量、施肥方法等に則した施肥の実施
15−1.たい肥等の有機物を施用した場合は、その肥料成分を考慮した施肥設計、減肥マニュアル等に基づく減肥
15−2.都道府県の施肥基準、JAの栽培暦等で示している施肥量、施肥方法等に則した施肥
施肥基準をしっかり確認します。
15−3.施肥用機械・器具の点検・整備
16.水田代かき後の濁水流出の防止対策の実施
16−1.浅水の状態での代かきの実施
16−2.あぜぬり、あぜシートの利用
【土壌の管理】
17.たい肥等の有機物の施用等による適切な土壌管理の実施
17−1.標準的なたい肥施用基準に則したたい肥の施用、稲わら等のすき込み、緑肥の栽培
17−2.適地における不耕起栽培
17−3.多毛作及び輪作
17−4.適切な土壌改良資材の選択・施用
18.土壌の侵食を軽減する対策の実施
18−1.適地における不耕起栽培
18−2.被覆作物の栽培(草生栽培を含む)
18−3.植生帯の設置
18−4.等高線栽培
18−5.土壌の透水性改善(たい肥の施用等)
18−6.風向を考慮した畝立の実施、防風垣の設置
【廃棄物の適正な処理・利用】
19.農業生産活動に伴う廃棄物の適正な処理の実施
資格のある産業廃棄物処理業者に廃棄物(廃プラスチック、空容器、空袋、残農薬、農業機械等)の処理を委託します。
産業廃棄物管理票の控えと処理業者の資格証明書の写しを入手・保管します。
農薬散布機の洗浄液を河川に流したり、容器の野焼きや農業機械を圃場に投棄するなどをしないようにします。
産業廃棄物、資源ごみ等は、区分して保管・処分します。
保管場所では、他の場所への飛散や、農産物や作業服等の汚染などが生じないように管理します。
農薬の空き容器は、屋根のある、風雨にさらされない場所に保管し、周辺の汚染や地下、河川等への流出を防止するように管理します。
汚染リスクの高い廃油は、別容器に保管し、適正に処分します。
20.農業生産活動に伴う廃棄物の不適切な焼却の回避
プラスチックの野焼きはしないようにします。特に、住宅地近辺での野焼きには注意する必要があります。
21.作物残さ等の有機物のリサイクルの実施
21−1.ほ場に残すと病害虫がまん延する場合などを除き土づくりに利用します。(ほ場に還元)
21−2.たい肥の原料、家畜の飼料、畜舎の敷料等の用途へ仕向けします。
【エネルギーの節減対策】
22.施設・機械等の使用における不必要・非効率なエネルギー消費の節減
機械・器具の適切な点検整備と施設の破損箇所の補修を行います。
適切な温度管理の実施や不必要な照明の消灯、エネルギー効率の良い機種の選択を行います。
バイオマスエネルギー、太陽熱、地熱、雪氷等の新しいエネルギー等が利用できないかを検討します。
3.労働安全を主な目的とする取組
【危険作業等の把握】
23.農業生産活動における危険な作業等の把握
大型のつり下げ機械や危険な場所の注意を喚起します。
【農作業従事者の制限】
24.機械作業、高所作業又は農薬散布作業等適切に実施しなければ危険を伴う作業の従事者などに対する制限
24−1.酒気帯び、薬剤服用、病気、妊娠、年少者、無資格者、一人作業等の制限
【参考】 玉掛け、フォークリフト、電気関連などの作業は、有資格者、講習受講済みの人員のみが当るようにします。受講証あるいは受講名簿、免許証等を確認します。無資格者は作業に従事しないようにします。
24−2.高齢者の加齢に伴う心身機能の変化を踏まえた作業分担への配慮
24−3.未熟な農作業者に対する熟練者の指導
24−4.準備体操や整理体操の実施
24−5.一日当たりの作業時間の設定と休憩時間の取得
24−6.定期的な健康診断の受診
【服装及び保護具の着用等】
25.安全に作業を行うための服装や保護具の着用、保管
 @作業着や保護具の保管(保管庫)
 A転倒、落下物等の危険性のある場所や道路走行時における、ヘルメットの着用
 B飛散物が当たる危険性のある場所における、保護めがね等の着用
 C回転部分にカバーできない場合における、袖口の締まった服装、帽子等の着用
 D高所作業時における、ヘルメット、滑りにくい靴、安全帯・命綱等の着用
 E粉塵のある作業場所における、防塵めがねや防塵マスク等の着用
 F防除作業時における、作業衣、マスク等の着用と洗浄、保管
 G騒音・振動・寒暖の差の激しい場所での作業における、ヘッドホンや防寒着の着用
【参考】 作業の種類、内容によって、安全を確保するために必要な防護備品を準備し、定位置に保管します。未装備で作業を行うことのないよう、不足・不備が生じないように注意します。
【作業環境への対応】
26.農作業事故につながる恐れのある作業環境の改善等による対応の実施
 @危険箇所の表示板設置等の実施
 A農道における、曲角の隅切、路肩の草刈、軟弱地の補強等の実施
 Bほ場出入り口における、傾斜の緩和、幅広化等の実施
 C高所における、滑り止め、手すり等の設置、危険な枝の剪定等の実施
 D酸欠の危険のある場所における、換気の実施、危険表示等の実施
 E暑熱環境における、水分摂取、定期的な休憩、日よけの設置等の実施
 F寒冷環境における、急激な温度変化への注意、定期的な休憩等の実施
 G粉塵環境における、粉塵発生源の囲い込み、吸引等の実施
 H騒音・振動・寒暖の差の激しい場所での、作業時間の制限と定期的な休憩の実施
 I閉鎖空間への閉じ込め防止措置
   冷蔵庫内からの緊急脱出、緊急連絡装置の設置、装置の稼働テストの実施
 J作業に適した時間の作業、作業時の明るさの確保
その他、圃場の危険個所に適切な措置が講じられているかを確認します。
トラクターの転落、転倒防止のための侵入防止措置、ストッパーの設置などがあります。
【機械等の導入・点検・整備・管理】
27.機械、装置、器具等の安全装備等の確認、使用前点検、使用後の整備及び適切な管理
27−1.機械導入時の、型式検査合格証票又は安全鑑定証票の有無の確認
27−2.中古機械導入時の、安全装備の状態や取扱説明書の有無の確認
メーカー、販売店の自主点検制度がある機械の場合には、その点検を適正に受けているか確認します。
説明書、自主点検実施ラベル、帳票があるか確認します。また、使用期間が点検保証の期限内であるかも確認します。
27−3.機械等の使用前の、安全装置等の確認と未整備機械の使用禁止
機械に貼付されている注意書きを確認します。
27−4.機械等において指定された定期交換部品の交換
27−5.安全に出入りができ、機械等の点検・整備を行いうる格納庫の整備
27−6.保管時における機械等の昇降部の下降と鍵の管理
【機械等の利用】
28.機械、装置、器具等の適正な使用
28−1.機械等の取扱説明書の熟読、保管
28−2.機械等への詰まりや巻き付き物を除去する際の、エンジン停止、昇降部落下防止装置の固定
28−3.乗用型トラクター使用時の、シートベルトやバランスウエイトの装着、移動時等の左右ブレーキの連結
28−4.歩行型トラクター使用時の、後進発進時のエンジン回転数の減速、旋回方向への障害物確認
28−5.刈払機使用時の、部外者の立入禁止
28−6.脚立の固定金具の確実なロック
台車やハンドリフターなどは、使用しないときには固定しておきます。
【農薬・燃料等の管理】
29.農薬、燃料等の適切な管理
29−1.冷涼・乾燥した場所で、部外者が立ち入らない場所での農薬の保管
29−2.毒劇物に指定されている農薬の飛散・漏出防止、容器・貯蔵場所への表示
農薬を容易に持出すことが出来ないようになっているか確認します。
施錠できる保管場所を確保し、確実に施錠し、鍵の管理者を限定して管理します。
鍵の保管場所がすぐにわからないようにします。
29−3.農薬の牛乳やジュース等の容器への移しかえの禁止
【参考】 開封済み、使用途中の農薬の保管が適切か確認します。
開封済みの農薬は密封し、他の農薬と別に保管します。開封済みの農薬がこぼれても他を汚染しないようにプラスチックトレー(染込まない素材容器)などに入れて保管するようにします。農薬がこぼれていないか、飛散していないかを適時確認し、そのような状態になった場合を想定し、素早く吸収するための砂、シートなども準備しておきます。
農薬は剤型別、種類別、適用作物別に明確に区分して保管します。意図しない混入が発生しても、適用外の使用等になることがないようにするためです。
29−4.火気がなく部外者がみだりに立ち入らない場所での燃料の保管
【参考】 消防上の安全性を確保します。
燃料を入れる容器は適正なものを使用します。そして、部外者に容易にわからないように保管します。万一に備え、消火器、防火用の砂などを準備します。
ガスボンベ、消火器の使用期限を確認しておきます。プロパンガス、消火器の容器には使用  期限、耐用年数が明記されています。これを過ぎると、高圧ガスにより破裂、爆発することがあり大変危険です。
【参考】 発火性、発熱性のある化成肥料の保管状況を確認します。
【施設の管理・運営体制の整備】
30.施設の適正な管理・運営及び施設の管理者とオペレータとの責任分担の明確化
【事故後の備え】
31.事故後の農業生産の維持・継続に向けた保険への加入
4.農業生産工程管理の全般に係る取組
【技術・ノウハウ(知的財産)の保護・活用】
32.農業者自ら開発した技術・ノウハウ(知的財産)の保護・活用
知的財産に該当する事項が何かを認識します。
特許、実用新案、品種登録だけでなく、意匠(特殊な形状の農産物や包装容器が該当します。)、商標、ブランド名、特殊な農法などが該当します。
個人で工夫している技術などを確認し、また個人の工夫による技術を共有化して保護・活用します。
個人に帰属する技術などを盗用してはいけません。
【情報の記録・保管】
33.ほ場の位置、面積等に係る記録を作成し、保存
取水経路、排水経路を明記した図面・地図などを作成します。
34.農薬の使用に関する内容を記録し、保存
農薬の使用に関する以下の内容を記録します。
@使用日、A使用場所、B使用した農作物、C使用した農薬の種類又は名称、D単位面積当たりの使用量又は希釈倍率
【参考】 他者からの点検を受けるため、在庫管理なども記録しておくことが有効です。
【参考】 システムを使った記録も有効です。パソコンや携帯電話だけでなくOCR用紙を使う方法があります。データ化することで、農薬使用が適正かどうかなどのチェックを効率的に行うこともできます。
35.肥料の使用に関する内容を記録し、保存
肥料の使用に関する以下の内容を記録します。
@施用日、A施用場所、B施用した農作物、C施用した肥料の名称、D施用面積、E施用した量
36.肥料、農薬等の購入伝票等の保存
37.米穀等の取引等に関する内容の記録の作成・保存
以下の記録を作成・保存します。
@名称
A産地
B数量
C年月日
D相手方の氏名又は名称
E搬入又は搬出した場所
F用途限定米穀についてはその用途
G保管の時の温度及び湿度、残留する農薬又は品位等についての検査を行った場合における当該検査の結果その他の食品としての安全性を欠くものの流通の防止、表示の適正化又は適正かつ円滑な流通の確保に資する事項
H生産品の出荷又は販売先の所在地
I食品衛生法第11 条の規格基準への適合に係る検査を実施した場合の当該記録
【特定の米穀についての保管・処理】
38.用途限定米穀、食用不適米穀の適切な保管
38−1.区分保管
他県名、他品種名の明記された米袋の再利用はしません。
明確に前表示を削除しての限定的な使用(自家用・縁故・小作米の保存など)に止めます。
38−2.票せんによる用途の掲示
39.用途限定米穀、食用不適米穀の適切な販売・処分
用途限定米穀、食用不適米穀は以下の取り扱いが必要です。
 @販売・譲渡した時の転用防止対策の実施
 A廃棄又は食用に供しない物資の加工・製造用途への使用(食用不適米穀)
【生産工程管理の実施】
40.以下の手順による生産工程管理の実施
@栽培計画など農場を利用する計画を策定した上で、上記の項目を基に点検項目等を策定
A点検項目等を確認して、農作業を行い、取組内容(複数の者で農作業を行う場合は作業者ごとの取組内容、取引先からの情報提供を含む)を記録し、保存
B点検項目等と記録の内容を基に自己点検を行い、その結果を保存
C自己点検の結果、改善が必要な部分の把握、見直し
D自己点検に加え、産地の責任者等による内部点検、第二者(取引先)による点検、又は第三者(審査・認証団体等)による点検のいずれかの客観的な点検の仕組み等を活用
【参考】 点検では、地域の改良普及員、農協の営農指導員などによるものも効果的です。
また、生産者同士(品目別部会、近隣農家など)による相互の点検も有効です。
【記録の保存期間】
41.上記の項目に関する記録について、以下の期間保存
@米穀等の取引等に関する記録については原則3年間
A米穀等の取引等に関する記録以外の記録については取引先等からの情報提供の求めに対応するために必要な期間
【ガイドラインに記載のない留意すべき取組】
42−1.種子の更新
定期的に種子が更新(保証票などで確認できる)されていることを確認します。
42−2.育苗施設の再利用
他用途での使用(家庭菜園、野菜苗育苗など)に使用する場合には、土壌への農薬等の浸透を防止するためにシートをひくなどの対策をとります。


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